山形大学のオープンイノベーションって何ですか?
優れた製品や技術の開発には多くのリソースを必要とします。困難な開発を自社で完結できれば、それをコア技術として市場で競争力を発揮できます。しかし、イノベーションに値するほどの開発を自社だけで行うことは、リソースだけでなく時間やリスクも増えます。そこで、他社や大学などと連携して、技術や知識を取り入れながら難しい開発に取り組むオープンイノベーションの活用が期待されます。
大学におけるオープンイノベーションは、「産学連携」と言えばわかりやすいかもしれません。企業と共同研究をしたり、学術指導や技術指導などを行ったりして連携をすることにあたります。しかし、実施されている産学連携は、企業と大学の研究者が大学シーズのフィージビリティスタディに取り組む小規模のものが殆どです。オープンイノベーションにおける産学連携は、企業との間で事業目標を共有し、スケジュールや規模に合わせて大学がリソースを整え、研究の進捗管理をする組織対組織の大型の協業関係が求められます。
山形大学は、これまで有機材料とそのエレクトロニクス応用に選択と集中を行ってきました。
有機エレクトロニクスイノベーションセンター(INOEL)は、そのオープンイノベーション拠点として、2013年から大型の産学連携に取り組んでいます。
ここで、INOELを少し紹介させてください。
有機エレクトロニクスイノベーションセンター(INOEL)
https://inoel.yz.yamagata-u.ac.jp/
INOELには、有機EL、有機トランジスタ、有機太陽電池、フレキシブル技術、インクジェット、蓄電デバイスの6つの研究開発領域があります。50名を超えるスタッフのほとんどが企業での研究開発や事業の経験者です。
INOELのもう一つの特徴は、運営を独立採算で行っていることです。
山形大学を含む国立大学法人には、国から大学が業務を運営するための交付金(これを運営費交付金と言います)を補助金としてもらっています。教職員の賃金の大部分がこの交付金で賄われています。
これに対して、INEOLは運営費交付金を受けず、企業との共同研究費や国の大型プロジェクトの委託費などで、人件費と施設設備費を含む研究開発に関わる運営費を賄っています。私たちは、これをもって独立採算の運営と言っています。
INOELが開所して、今年度で10年になります。有機エレクトロニクスとインクジェットに関する設備がここまで備わっている拠点は、国内外を見回してもそう有りません。
興味のある方は、ぜひ見学に来てください。オープンイノベーションによる開発に一緒に取り組みませんか。